満蒙開拓民の慰霊祭「拓魂祭」と日本の中国侵略

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満蒙開拓の犠牲者を慰霊する「拓魂祭」(たくこんさい)が、今日(2022/4/10)東京都多摩市の拓魂公苑で開催されました。私は運営としてZoomとYouTubeでの配信を担当しました。 満州開拓民のソ連侵攻後の悲劇は言うまでもないのですが、同時に、日本の中国侵略のことも考えなくてならないと思います。

 

武力で日本本土の三倍もの広大な土地と、数多の人名を奪って作ったのが傀儡国家満州帝国です。開拓民の悲劇以前に、土地と生命を奪われた中国人の悲劇に思いを馳せるべきだなと思わずにはいられません。しかし、拓魂公苑の碑には、日本の加害性については触れられていません。

昨今、過去に自分たちの国が行った非人道的な行為を直視することから逃げ、理由をつけて正当化したがる風潮がはびこっているように思います。 しかし、それでは世界の人々とまともに対話することは不可能です。「日本のおかげで被植民地国はインフラが整備された」「日本が入って行ったおかげでアジアの国々は欧米から独立できた」というような理屈で日本の侵略を正当化する姿勢は、ウクライナ侵攻を独りよがりの理屈で正当化するロシアの姿と重なって見えるように思います。

過去の非道な行いを曲解したり、一部の良い点を取り上げて全体を正当化しようとする心理は、自分たちの非を素直に認めることのできない心の弱さから来ていると思います。心の弱さは誰しもが持っているものです。しかし、それを乗り越えなければ、被害を受けた人々からの赦しを得ることはできないでしょう。

いつか、拓魂公苑に、満州開拓民の方やその遺族・関係者だけではなく、日本の侵略被害に遭われた中国東北部の方々・子孫の方々も交えて、共に話し合うことができる日が来ることを望みます。

 

 



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