筆者の早乙女勝元氏自信、東京大空襲に遭遇し、戦後長年にわたり東京大空襲、本土空襲に関して丹念に情報を収集してこられました。現在は「東京大空襲・戦災資料センター」の館長を務めています。
本書は東京大空襲を中心に据えつつも、戦時中の防空体制、防空演習や人々の生活、そしてアメリカ軍の戦略思想、ヨーロッパ戦線の動向、そして日本以外の無差別爆撃にいたるまで、幅広く扱っています。東京大空襲に留まることなく、本土空襲とそれに対応する日本の様子が一冊でよくわかります。
また、戦時を生き、戦後は戦災者として苦闘してきた立場として、当時の軍部に対する怒り、戦災犠牲者に対する戦後補償のあり方に対する憤りも述べられています。
国民への痛苦におよそ鈍感無責任な施策は単に個人的なものではなく、軍隊の思想そのものであって・・・
(「あとがき」より)
国民主権と戦争放棄の憲法が誕生したにもかかわらず、戦禍の犠牲を強いられた民間人に対する配慮はいささかもなかったのです。
(「あとがき」より)
全編に渡り豊富な写真、資料、そして解説があり、非常に分かりやすい構成になっています。当時の人々の息遣いが伝わってくるでしょう。そして、東京空襲の被害・犠牲者に関するデータも充実しています。東京大空襲や本土空襲に触れてみたい方の入門編として、お薦めの一冊です。
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