経緯
2022年7月から12月まで、東京都港区立青山小学校6年生の38名に対して、平和に関する授業を担当しました。きっかけは、2022年4月23日に掲載された毎日新聞記事を読んだ同校の先生が、平和教育の授業をやってくれないかと私に連絡をくれたことです。
同校はSDGs教育に力を入れており、特に人権教育を重視しているそうです。その流れで、6年生は平和学習を年間を通じておこなっているとのこと。私はこれまで高校生や大学生と共に活動をしてきたり、彼ら向けに話をしたことはありましたが、小学生に対して平和教育をしたことはなかったため、手探りでの活動となりました。
青山の空襲犠牲者慰霊に参加(5月25日)
小学校のある青山周辺は、他のエリアと同じく断続的に空襲に見舞われていましたが、特に終戦3カ月前の1945(昭和20)年5月25日、「山の手空襲」と呼ばれる大空襲に見舞われました。今は若者でにぎわう表参道には、空襲の惨禍を伝える慰霊碑があります。青山小学校の6年生の児童たちは、山の手空襲のあった5月25日、その慰霊碑まで行き、体験者の方のお話を伺い献花を行いました。私も児童たちに初めて会う機会として、同行をさせてもらいました。
戦争と平和について、全体像を知る(7/2)
ついに7月2日、最初の授業の日です。この日は、「戦争はやってはいけないと思うか、そうだとしたらなぜそう思うか」という問いかけから始めました。その後、戦争が具体的に市民にどのような被害をもたらすのか、イメージがわきやすいように解説。太平洋戦争で心身に傷を負った人たちは、戦後77年(2022年当時)経ってもまだ「戦争は終わっていない」と感じていることを紹介。次に、(1)軍隊の増強が軍拡競争を招くこと、(2)軍隊が競い合っているとふとしたできごとで戦争が起きてしまう可能性が高まること、(3)軍備増強は教育や福祉へ回すお金を減らし、国が貧しくなることにつながること、を解説しました。
これは、昨今、ロシアのウクライナ侵攻を受け、中国への脅威から日本でも軍備拡張論が急激に高まりを見せている一方で、「軍備拡張の先には何が待っているか」という冷静な議論が少ないと感じているため、軍備拡張のもたらす様々な側面を紹介しました。
最後に、戦争が起きないようにするための仕事を紹介。子どもたちが将来どのような仕事を意識すればよいかのヒントとなるようにしました。加えて、平和な社会づくりというと大きすぎて自分たちには何もできないように感じてしまうけれど、ひとりの力で社会は変わることもできるということを、インドのガンジーを例に解説しました。夏休みの宿題として「平和な世の中の作り方を考えてみよう」というお題を出して、この日の授業は終わりました。以下が、当日使用したスライドです。
当日の様子
平和な社会にするために、自分たちには何ができるか?を考える(9/3、11/10)
夏休みが明けた9月3日、児童たちは夏休みの間に考えてきたことを発表しました。テーマは「平和な世の中の作り方」で、近い考えの児童同士でグループを作り、考えてきたことを共有しあいました。その中で出てきたキーワードが、下の右側の写真です。身近なところでは、「けんか・いじめをなくす」「お互いを認め合う」などが挙がり、大きなテーマでは「核をなくす」「平和の本当の意味を考える」など。その後、それらを実現するための一歩踏み込んだアイディアについても検討。2か月後に校内で発表する機会があり、それに向けてグループごとにさらに調査をし、踏み込んだ議論をしていくことになりました。
考えを発表する・講評(11/19、12/14)
10月に一度各グループの中間発表をしてもらい、フィードバックを行いました。それを踏まえ、11月19日に5年生に向けて発表会を行いました。残念ながら私は新型コロナに感染しその発表会には出席できなかったので、12月14日にあらためて伺い、各グループのアイディアに対するフィードバックを行いました。
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