アリゾナ記念館だけではない!ハワイの太平洋戦争関連施設

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太平洋戦争開戦の地となった、ハワイ・オアフ島の真珠湾(パール・ハーバー)。この地は現在もアメリカ軍の重要な軍事基地ですが、同時に多くの資料館や史跡がある、一大歴史スポットとなっています (Pearl Harbor Historic Sites)。太平洋戦争の衝撃的幕開けとなった、真珠湾奇襲攻撃を象徴する「戦艦アリゾナ」(アリゾナ記念館)から、大平洋戦争終結の場である「戦艦ミズーリ」と、太平洋戦争の始まりと終わりの象徴がここにあります。

また、オアフ島にはアメリカ太平洋軍の記念墓地もあり、ここも太平洋戦争、そして日本人とつながりの深い場所です。今回、管理人が見学してきた場所についてご紹介します。
※アメリカ太平洋軍…太平洋方面のアメリカ軍全て(5軍=陸軍、海軍、海兵隊、空軍、沿岸警備隊)を統括する軍。

💡 真珠湾奇襲攻撃についてはこちらで解説しています ➡ 真珠湾攻撃―太平洋戦争の衝撃的幕開け



オアフ島関係地図


青=パール・ハーバー緑=国立太平洋記念墓地紫=ワイキキ

 

 

日本人の行かない「真珠湾」

パール・ハーバーは、オアフ島の中で最も観光客が集まるスポットになっています。しかし、そのうち日本人観光客の割合は長年3%程度にとどまり、近年増えてきたとは言っても5%~10%未満とのこと。オアフ島を訪れる人のうち、日本人の割合は27%(2015年)であることを考えると、多くの日本人はパール・ハーバーを訪れていないことが分かります。

パール・ハーバーは日本の奇襲攻撃によって有名になった場所です。しかし、日本人にとってのハワイの「リゾート地」のイメージとはかけ離れた「戦争遺跡」、それも日本が宣戦布告の前に攻撃して大打撃を与え、アメリカの悲痛な気持ちが詰まった場所をわざわざ見に行きたくないということなのでしょうか。それは理解できる部分もありますが、ここは日本が関与して世界を震撼させた貴重な現場です。そのような場所は世界に多くはないでしょう。日本の過去を見つめなおすことのできるまたとない場所ではないでしょうか。

また各展示施設では、日本の事をことさら悪くは描いていません。さらに日本人観光客の多くが宿を取るワイキキからそれほど離れていません。ハワイを訪れる方はぜひ一度行かれることをお勧めします。

Pearl Harbor Historic Sites のサイト(日本語あり)

 

パール・ハーバーの歴史施設


緑=パールハーバー太平洋航空博物館紫=戦艦ミズーリ記念館オレンジ=潜水艦ボーフィン号青=アリゾナ記念館

 

パール・ハーバー太平洋航空博物館
Pacific Aviation Museum Pearl Harbor

パール・ハーバー太平洋航空博物館
修復された実物のゼロ戦(21型)が展示されている

太平洋戦争の戦闘を、航空機中心に解説している博物館。かつての水上機格納庫を利用した「格納庫37」が中心的な展示スペースとなっています。また、太平洋戦争以降現代にいたるまでの歴代の戦闘機等が展示されている「格納庫79」も隣接していて、アメリカの戦争に関係した航空機の実物やレプリカを間近で見ることのできる場所です。

 💡 詳細は ➡ 【博物館】パール・ハーバー太平洋航空博物館-真珠湾攻撃の迫真にせまる解説!



戦艦ミズーリ記念館
Battleship Missouri Memorial

戦艦ミズーリ
戦艦ミズーリ(艦橋修復中)

1945(昭和20)年9月2日、東京湾に浮かぶ米戦艦「ミズーリ」上で太平洋戦争の降伏調印式が行われました。その戦艦ミズーリは、現在はパール・ハーバーで展示されています。口径40センチの主砲が間近で見れるほか、降伏調印式が行われた場所は現在は展示スペースとなっており、当時の状況を今起きていることのように感じることができます。また、日本軍の特攻機が衝突した部分にも詳しい解説があります。

 💡 詳細は ➡ 【記念館】戦艦ミズーリ記念館-太平洋戦争が終わった、その場所へ

 

潜水艦ボーフィン号
USS Bowfin Submarine Museum & Park

潜水艦ボーフィン号
潜水艦ボーフィン号

日本艦船44隻を撃沈し、「パールハーバーの復讐者」(Pearl Harbor Avenger) と呼ばれたのが米潜水艦ボーフィン号です。撃沈された44隻のうち、軍の艦船は4隻であり、残りの40隻は民間船(徴用されていたものも含む)でした。乗員・乗客1,476名の死者を出した学童疎開船「対馬丸」を撃沈したのもこのボーフィンです。現在はパール・ハーバーに係留され、内部を見学することができます。またその周囲は歴史公園として整備され、潜水艦博物館、日本軍の特攻潜水艇「回天」などの屋外展示、太平洋戦争で撃沈された米潜水艦の追悼施設などがあります。

 💡 詳細は ➡ 【博物館】潜水艦ボーフィン号-対馬丸を撃沈した「真珠湾の復讐者」

 

アリゾナ記念館
USS Arizona Memorial

アリゾナ記念館
アリゾナ記念館

真珠湾奇襲攻撃で撃沈された3隻の戦艦のうち、戦艦アリゾナは、奇襲攻撃全体で死亡した約2,400人のアメリカ人のうちの約半数にあたる1,177人が犠牲になりました。アリゾナは引き揚げられることなく現在もその水兵と共に海中に眠っています。アリゾナ記念館はそのアリゾナの真上にあり、アメリカ軍の最も重要な鎮魂の場のうちの一つとなっています。

💡 詳細は ➡ 【記念館】アリゾナ記念館-真珠湾攻撃犠牲者を慰霊する象徴的存在

 

パール・ハーバーの資料館・史跡紹介は以上です。今回、私は初めてのハワイ旅行だったこともあり、「パールハーバー1日ツアー&海軍カレー」に参加しました。運が良かったかもしれませんが、ガイドの方の説明も大変詳しく、わかりやすく1日まるごと楽しむことができました。ただ、1日で真珠湾のたくさんの場所を回るため、一つひとつの訪問先の時間がどうしても短くなってしまうのは少し残念でした(私はいつも集合時間ギリギリまで帰ってこないので、毎度ガイドさんのイライラを背中に感じながら最後にバスに乗り込んでいました(笑))。ハワイに慣れている方であればレンタカー等で回った方が自由に時間を使えると思いますが、不慣れな場合はツアーに参加すると交通の時間を節約することもでき、安心して回れると思います。

 

国立太平洋記念墓地
National Memorial Cemetery of The Pacific

国立太平洋記念墓地  National Memorial Cemetery of The Pacific
国立太平洋記念墓地

ワイキキの北にある「国立太平洋記念墓地」は、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争におけるアメリカ太平洋軍の戦死者の一部、2万人以上を埋葬している記念墓地です。よく手入れされた広大な芝生に、兵士一人ひとりの名前、生年月日と死亡日、妻などの名前、短いメッセージが刻まれた板が埋め込まれています。よく見ると、日本人の名前が多数。第二次世界大戦をはじめとして、多くの日系人がアメリカ軍兵士として活躍しました。また、神殿のような奥のスペースには、太平洋軍の参加した主要な作戦が大きな模式図になり展示されています。そのほとんどが太平洋戦争の対日戦のものです。アメリカ軍の記念墓地ではありますが、とても日本ともつながりの深い場所です。

💡 詳細は  ➡ アメリカ太平洋記念墓地-日系アメリカ人の活躍を讃える

 

写真撮影:管理人





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