アリゾナ記念館のすぐ横にあるのが、「パールハーバーの復讐者」と呼ばれ、学童疎開船「対馬丸」を始めとして多くの日本艦船を撃沈した「潜水艦ボーフィン号」をはじめとする展示と、潜水艦博物館です。今回は時間がなく潜水艦博物館の中に入れなかったので、公園の展示とボーフィン号をご紹介します。
ボーフィン号周辺に広がる公園
ボーフィン号にいたる道は公園になっており、潜水艦関係の展示があります。
こちらは米軍のMARK14魚雷。ボーフィンでも使用されていました。
こちらは第二次世界大戦後導入されたものですが、MARK45核魚雷。核魚雷なるものがあるのを初めて知りました・・・恐ろしい。
そしてこちらは日本の特攻魚雷、回天です。
回天の説明書き。「一人乗りの日本の自殺魚雷 1944年に初使用」
ボーフィン号の傍らには、第二次世界大戦で失われた52隻の米潜水艦と、全乗員の名が記された慰霊の場があります。
52隻の潜水艦それぞれにつき、銘板が設けられています。 後ろはボーフィン号。
“ON ETERNAL PATROL” (永遠の哨戒に就いて)
各銘板には、それぞれの潜水艦の経歴と、亡くなった乗員の名前が記されています。以下は1945年6月18日に日本軍に沈められた潜水艦ボーンフィッシュのもの。
潜水艦博物館前のパネル。太平洋戦争における米潜水艦部隊の活躍の概要がまとめられています。
上のパネルの概要
犠牲の上の勝利
- 潜水艦部隊の成功
- 潜水艦部隊は米海軍の2%を占めるに過ぎない。しかし、第二次世界大戦において、潜水艦部隊は最高の実績を挙げ、最も多くの英雄を生み、最も多くの犠牲を出した。
- 潜水艦は太平洋戦線では1474回の作戦に出動した。
- 潜水艦は日本軍全艦艇の30%の撃沈に貢献した。
- 潜水艦は日本民間船の55%の撃沈に貢献した。
- (勲章についてはよく分からないので省略)
- 最高の犠牲
- 潜水艦部隊は、22%という第二次世界大戦で最も高い犠牲率を出した部隊のうちのひとつ。
- 第二次世界大戦で52隻の潜水艦と3628名の人員が失われた。
下のパネルには、「日本帝国は戦闘には勝ったが戦争に負けた」として、真珠湾攻撃では2年分の海軍の燃料貯蔵庫、船を修理するドック、そして潜水艦基地が無傷で残り、このため米軍の反撃が可能になったことを指摘しています。
潜水艦ボーフィン
ボーフィン号の概要
「ボーフィン」 (bowfin) とは、北米大陸東部に生息する肉食魚の名前から取ったものです。獰猛な魚で、小魚やエビなど、なんでも捕食します。
潜水艦の方のボーフィンは、バラオ級と呼ばれる米潜水艦の一隻で、真珠湾攻撃からちょうど1年の1942(昭和17)年12月7日に進水。太平洋戦争を通じ日本艦船44隻を撃沈し、「パールハーバーの復讐者」(Pearl Harbor Avenger) と呼ばれました。撃沈された44隻のうち、軍の艦船は4隻であり、残りの40隻は民間船(徴用されていたものも含む)でした。1944年8月22日、乗員・乗客1,476名の死者を出した学童疎開船「対馬丸」を撃沈したのがこのボーフィンです。
展示されているボーフィン
そして、いよいよボーフィン号に乗船。
こちらは前部甲板。すごく細長いことが分かります。
入るといきなり、前部魚雷発射室になります。ボーフィンは前部6基、後部4基、合計10基の魚雷発射管がありました。魚雷は発射管装着10本、充填ラックに14本、合計24本を装備することができました。
内部の通路。とても狭い通路が一本だけ・・・
ここで生活できるの?というのが正直な感想です。
3段ベッドと机。文字通り寝る以外何もできなさそうです。
喫茶室。 任務の合間のひと時を、男たちがコーヒー飲みながら談笑する姿が目に浮かびます。
タイプライター。
すごい数の計器が・・・
一つひとつ目盛りを読んで操作していたんですね。
体格の良い米兵にとってかなり狭く感じたでしょう。
調理場ですね。
食堂。どんな会話してたんだろう。
トイレ!狭いよ~~
機関室でしょうか。
後部魚雷室。魚雷のレプリカが並んでいます。
発射管。
甲板の最後部です。
25口径5インチ砲
40ミリ機関砲
これで潜水艦ボーフィンと公園の紹介は終わりです。潜水艦の狭さは想像を絶します。この中に70~80人の将兵が乗り込み、何週間も作戦を行っていたというのはちょっと信じられません。さらに、今は空調もありますが、実際に稼働している際はかなり暑かったようです。また、敵(日本軍)の攻撃にさらされる時は、狭い空間で魚雷や機雷が命中すれば後は水死が待つばかりという状況で、精神的にも相当きついものがあったことでしょう。わずかばかりではありますが、潜水艦乗りの気分を味わうことができる貴重な場所と言えると思います。
ロケーション的にはアリゾナ記念館のおまけで行く感じになると思いますが、ボーフィンと公園だけでも随分と見ごたえがあります(ボーフィンと博物館は有料)。関心のある方は十分時間を取って行かれるのがよいでしょう。また、今回潜水艦博物館には行けなかったので、行かれた方がいらっしゃいましたらレポートをぜひ拝見したいと思います。
▼ウェブサイトはこちら
USSボーフィン潜水艦博物館公園(日本語、概要のみ)
USS BOWFIN SUBMARINE AND MUSEUM PARK(英語)
◆真珠湾の戦争記念施設一覧に戻る ➡アリゾナ記念館だけではない!ハワイの太平洋戦争関連施設
写真撮影:魚のボーフィン以外は管理人
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