【映画】男たちの大和/YAMATOー兵士の目線で戦場の「リアル」が迫ってくる

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男たちの大和/YAMATO」は、2005年12月公開の映画(東映)。主演は反町隆史、中村獅童、渡哲也。鈴木京香、蒼井優も重要な役どころで出演しています。戦艦大和の最期となる沖縄への海上特攻の一部始終が、兵士の目線でありありと描かれた作品。描写は実にリアルで、戦闘シーンはかなりグロテスクな部分もありますが、現実の戦争はどのようなものか教えてくれます。一人一人の兵の目にどのように戦争が写っていたのか、家族や関係者はどんな気持ちで過ごしていたのか、余すところなく描いている本作品は、太平洋戦争を考える上で、一度は観ておきたい作品です。
※そもそも戦艦大和って?沖縄への特攻作戦って?という方は、ページ最下部に解説ページへのリンクがあります。

戦艦大和

 

物語の始まり

物語は戦艦大和の元乗組員で、現在は鹿児島で漁師をしている男の元へ、同じく元乗組員の娘が訪ねて来るところから始まります。父の遺灰を戦艦大和が沈没した場所まで持っていきたいと依頼をし、船を出すところから回想シーンとして本編が始まります。

 

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徹底して兵士、庶民の目線で描かれている

本作品の特徴は、一貫して下士官・兵という現場の兵士の目線で戦争が描かれているところにあります。一兵士として苦しい戦局をどう捉え、どのように彼らなりに咀嚼(そしゃく)していったのか。その苦悩がありありと描かれています。また、同時に兵を送り出していった人々の生活がどのようなものだったのか、どのような気持ちで「銃後」を守っていたのかも描かれています。本作はそのため、観ている者にとってとても感情移入しやすいのではないでしょうか。

兵士の目線で描く時間が大部分を占めることで、軍や政府中枢の思惑を描くシーンが出てくることはほとんどありません。わずかに、大和の所属する第二艦隊を沖縄へ特攻攻撃をかけることを説得するにあたって、連合艦隊参謀長の草鹿龍之介中将と第二艦隊司令部との間で話合いが持たれるシーンだけです。そのため、大和の海上特攻が持つ意味や、その判断に至る経緯については、やや分かりにくいかもしれません。

兵士の日常という点では、頻繁に行われた体罰や、厳しい訓練の様子も生々しく描かれています。勇壮なイメージとは裏腹の、軍隊の日常が浮かびだされます。

 

アメリカ兵は登場しない

さらに特徴として挙げられるのは、敵であるアメリカ等の連合国軍の兵士は全く出て来ず、あくまで敵は「来襲する戦闘機」としか描かれていない点です。これは、あえて敵の存在を無機質にすることで、観ている者の焦点を当時の日本人が戦争をどう捉えたか、に集中させることにあるでしょう。さらに、敵に対する一方的な悪感情を抱かせないための工夫と言えるかもしれません。

グラマン

 

戦場のリアルが伝わる作品

戦艦大和は実物大模型(一部)を制作し、撮影に臨んだ本作。CGも駆使され、当時の兵器や戦闘機の描写は実にリアルです。その分、戦闘シーンはグロテスクな箇所も多いです。しかし、それが「戦争のリアル」であるがゆえに、目を背けてはいけないと思わせます。

 

太平洋戦争のざっとした流れが分かるようになっている

本作の少し「変わっている」点は、要所要所にナレーションが入り、実際の映像も交えて太平洋戦争の大まかな流れの解説があるところです。そのため、太平洋戦争について、また大和の特攻作戦についてよく知らない方にも、おおまかな流れがつかめるように工夫されています。一方で、純粋な映画として少し不自然であるとも言え、純粋に映画作品として楽しみたい方や、既に沖縄戦までの流れを良く知っている方には、不要な部分が多いと感じるかもしれません。

一方で、沖縄への水上特攻作戦の全体像が描かれていない点は少し残念です。この作戦は、大和だけでなく軽巡洋艦「矢矧」(やはぎ)と駆逐艦8隻の総勢10隻による作戦でした。現実的には予算や製作期間などの問題があったのでしょうが、大和に焦点を当て過ぎるあまり、他の艦や船員についての描写がまったくありません。個人的には、大和と比べると居住環境も劣悪な駆逐艦の兵が、どのような思いで、どのように闘ったのか(そして死んでいったのか)、観たかったなと思います。

 

最後に

本作は単純な愛国でも、反戦でもなく、戦争のリアルを当時の庶民の目線で描いている大作です。国を守りたいという純粋な気持ちと、戦って何が残るのかという矛盾する思いの中で、当時の人々がどのように生きたのか。ぜひご覧頂きたい作品です。

 

<ご覧いただく方法>

以下に、オンラインですぐに注文・視聴できる方法をご紹介します。ご希望の箇所の画像または作品名または「Amazon」「楽天ブックス」をクリックしてください(本ページでは、楽天で購入できるのは書籍だけです)。

 

[1]Amazonビデオでオンライン視聴(おすすめ)

Amazonでは、購入してすぐその場で視聴できる「Amazonビデオ」で「男たちの大和」を配信しています。400円で7日間の視聴期限付きか、2500円でずっと視聴できるものの2パターンから選ぶことができます。

[2]DVDまたはBlu-rayを購入(Amazon)

本作のDVDまたはBlu-rayバージョンを購入することもできます。

 

(1)男たちの大和 / YAMATO [DVD]

[3]原作を読む

原作では、映画版よりもさらに深く丁寧に描写されています。こちらもおすすめです。上下巻。

(1)決定版 男たちの大和〈上〉 (ハルキ文庫)

 

(2)決定版 男たちの大和〈下〉 (ハルキ文庫)

 

 

そもそも・・・

💡 戦艦大和ってどんな軍艦なの?という人はこちらをご覧ください👇

戦艦大和―日本海軍の栄光と悲劇の象徴―

 💡 沖縄への水上特攻って?という人はこちらをご覧ください👇

沖縄戦―海の戦い:戦艦大和の特攻作戦

photo: wikipedia, public domain




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